守ろう
東郷東小学校の子どもたちは授業でも五反田川に親しんでいます。就学前にもザリガニ釣りや散歩に来ます。子どもが遊びやすい川の魅力を創り出している五反田川カメの会のみなさんにお話を聞きました。
お話を聞いたのはカメの会の牧野さん、小林さん、山内さん、豊田さん、稲垣さんです。
ーカメの会を立ち上げた理由を教えてください。また、何年くらい継続されていますか?
豊田さんと小林さんが市役所に行ったときに、職員の方から「今度地域活動の補助金の仕組みができるからやってみん?」と打診されたことから立ち上がりました。立ち上げた当初は、四反田川カメの会という名前でした。
代々会長を順番に引き継いできて、現会長の牧野さんは五代目の会長です。
稲垣さんはカメの会に入って6年目。現役の時は市外に出ていたが、退職後区長もやるなど地域に関わっていこうと参加しました。
山内さんは会に入って12年目ですが本格的に参加されたのは退職されてからなので5年目です。
元々カメの会は「地域の環境を守り川で遊ぶまいか」という考えから始まりました。
海のカメは保護されているけれど日本古来の川のカメはそれほど話題にもならないし注目されていないことから、五反田川カメの会と名前をつけました。かれこれ12年活動が続いています。
ー五反田川の良さはどんなところですか?また、どんな生き物がいますか?
普通の小川が機能しているところが良いところです。昔のまま水がきれいで子どもが安心して遊べる川です。
川には、イシガメ ハグロトンボ ホタル カワニナ シジミ カワヨシノボリ ドジョウ カワムツ オイカワ メダカ サワカニ モクズカニなどがいます。
ー川の遊び場として心がけていることはありますか?おすすめの遊びはありますか?
草の背丈が長くなってくるとヘビが出たりして、子どもたちが安心して遊べなくなってしまいます。背丈数メートルにもなる草を月2回ほど刈って環境を整えています。
以前、河川改修の提案が市からあったときには、川に安全に降りられるように緩やかな階段を作ってもらったり、カメが川から登りやすいようにスロープ状にしたりなど、生き物が住みやすい環境を損なわないように考えて、あまり整備し過ぎないようにしました。カメは川で卵を産まず丘まで登り、畑や土の中に卵を産みます。穂の香看護専門学校のある丘まで登って行くことも確認しています。
年齢に関係なく安心して入れる川にするのが大人のつとめで、そうすれば子どもは自然と遊びます。遊びは教えるのではなく自分たちで見つけるものです。そういう場所を作るのが我々の役目です。
ー今後、五反田川をどのようにしていきたいですか?
大人も子どもも安心して入れる今の川の自然をそのまま保てればいいです。それが大事なことで、何かを新しく作ったり、お金をかければいいというものではないと思います。
ーコロナ禍の今年はどんな活動をされていましたか?
コロナ禍でも草は変わらず伸び続けるので、草刈りをしています。室内での活動はできませんが、室外での活動はしています。交付金が出ない間も草刈りの保険をみんなの会費から出して活動していました。
ー活動することで地域住民との連帯感などは深まりましたか?また活動していて良かったことは何ですか?
八束穂は広いので、今まで地域全体で活動することはあまりなかったけれど、この会を通してみんなで集まって活動し情報交換できるようになりました。この地域自治区制度のおかげで、八束穂全体での活動がしやすくなりました。
みんなでおしゃべりし、地域のことを考えると色々なことができます。いろいろな人が集まると面白いですよ。いろいろな知識や技術を持っている人がいて、たくさんの経験を積んできた人もいます。建築の技術がある人もいて、地域の人が集まれば家一軒だって建てられます。あらゆることを自前でやっていくのがこの会のモットーです。
ー今後どのような人がこの会に参加して欲しいですか?
現在は、仕事を定年退職した人を勧誘しています。退職して地元に戻ってきた人に参加してもらいたいです。
ー東郷地域活動交付金について使い勝手はどうですか?
交付率100%というのが良い。こんな制度は他にはないので、ありがたいと思っています。市長が変わっても続いていってほしいです。ただ、年に一回くらいみんなでお疲れ様会でおにぎりを食べるなどの経費も認めてくれると、なお良いですね。
あとがき
インタビューのあと、五反田川沿いを一緒に歩きました。そのときにみんなで努力してこの自然を守ってきたことを話してくれました。放っておくと2mを超える高さの葦を、五反田川、宮下川の2つの河川合計で2km、一人100m程度を月に1回草刈りをしているそうです。時には、腰くらいまである川に浸かりながら、危ないことがあってもみんなで協力してやっているとのことです。五反田川はカメの会と地域の住民にとって大切な場所だとインタビューから感じられました。