記念写真

歴史は継承することに意味がある。〜川路史跡研究会インタビュー〜

東郷地域の中の川路地区には、歴史的な価値の高い史跡が数多く存在しています。それらの史跡を守り、次の世代に継承しようと立ち上がった「川路史跡研究会」さん。令和3年度東郷地域活動交付金を利用して、それらの素晴らしい史跡を市内外の方がめぐれるように、看板作成を行う予定です。代表の天野さんに団体立ち上げの経緯や事業の内容についてお話を伺いました。

(稲垣)
まず、事業の経緯を教えてください。

(天野さん)
私たち川路史跡研究会は平成14年に発足されました。川路地区の有志が集まって、川路区内のどこに史跡があるのかということを調査し、今後史跡の維持をしていくために史跡めぐりの冊子を作りました。川路の史跡を住民の方々に知ってもらいたいと思い、これを元に周知を行ってきました。今年度は地域活動交付金を利用して、散歩しながら史跡を回れる地図を看板として作ろうと思い申請しました。実は、会の発足には私の父親も携わっていて、世代を超えて引き継ぎました。みんなに知ってもらい、後世に史跡の維持管理を継承していきたいという強い思いを持っています。特に、萩平遺跡は日本の中では、旧石器時代からある古い遺跡です。その時代から遺跡があるということは、川路は住む条件としてはとても良いということが想像できます。

(稲垣)
そうですね。竹広の断上遺跡もそうだと思います。当時力のある権力者がいたということ。

(天野さん)
この辺りには古墳が多いですね。土地柄も含めて、この辺りは住みやすい土地だったと推測されます。

天野さん


(稲垣)
活動されている会員は何人くらいでしょうか。

(天野さん)
現在23人くらいです。ただ、平均年齢が高い。退職したような人や区長を辞められた人に入ってもらって会を運営しています。区からも運営を支援してもらっています。その資金で看板や標柱などの維持管理をしています。設楽原をまもる会からも協力をいただいています。川路の宝を住民みんなで守っていこうと先人たちが頑張ってきました。史跡の冊子だけでなく、他にも川路の殿様と川路の沿革雑記、昔からの習慣・行事、葬式マニュアルなど、とても調査研究され住民に周知されてきました。

(稲垣)
それは大したもんですね。

(天野さん)
これからせっかく看板を設置していくので、設楽原ボランティアガイドの会の皆さんにもぜひ案内していただけると非常に助かります。

(竹内)
勝楽寺を起点に歴史ガイドがありますので、川路史跡看板ができれば、バスで乗り付けて見れるので嬉しいです。

(天野さん)
特にこの地域は設楽原の決戦場ということで、全国にも決戦場があるが、東郷のようにきちんと歴史ガイドがいてくれるのはありがたいことだと思います。

(竹内)
全国から1000人規模で来てくれます。その時にパンフレットを配って東郷地域の歴史のPRを行っています。

(天野さん)
設楽原の戦いは、歴史上稀に見る戦い。私の家の前の連吾川がまさに激戦地となった場所。

(稲垣)
東郷地域には、歴史に関連するさまざまな会があるので、それぞれの会同士で連携して進むといいと思っています。この間、長篠地区の歴史ガイドの会も立ち上がったので、今後いろいろなコラボが発生するといいですね。

インタビュー様子

(竹内)
2年後の大河ドラマ「どうする家康」で新城市に訪れるお客さんが増えることが想定されます。ただ、どこの団体も高齢化が進んできているのでそれが心配です。

(天野さん)
一番の問題は、高齢世代の持っているノウハウや情報をいかに若い世代に引き継いでいくか、ということです。なんでもそうだと思いますが、若い世代はあまり関心を持っていません。昔と比べて生活様式や時代の変化もありますが、我々では思いも寄らない時代になってきました。いかに継承していくことが大事かなと思います。

(稲垣)
コロナも一つの要因ですよね。今までは人が集まることがいいことだったが、今では悪いことになってしまっている。

(天野さん)
東郷東小学校でウォークラリーをやっていると聞きます。こども会などをうまく利用して、親子で史跡めぐりイベントをやることで、地元の郷土に関心を持ってもらいたいと思っています。

(天野さん)
川路は195世帯ありますが、全世帯に配るように冊子を作ろうとしましたが、印刷代が高かったので今回看板に変更したという経緯もあります。川路公民館のところに大きく看板を立てて、今後の展開としては看板を利用して住民の人に史跡めぐりをしてもらうようなことをしていきたいと考えています。

(稲垣)
看板を作るだけではなく、その後のことも考えていただけるといいですよね。

(天野さん)
中には、字が読めなくなってしまっているような看板もあります。また、看板があっても草むらの中に入っていて看板自体が見えなくなってしまっているようなところもあります。看板をつけっぱなしでは意味がないので、維持管理と活用に力を入れていきたいと思っています。

(稲垣)
いい伝統を作っていかないといけないですね。

(天野さん)
昔はお役だったが、今の若い子はお役を嫌います。例えばシルバー人材センターに委託するなど、お金を使ってもいいので、史跡の維持管理を考えていかないといけない。自分たちでいつまでもやろうと思ったら継続していかないと思います。

(竹内)
コロナのせいで色々な行事が中止になっています。2年やめてしまうと、始めるときにパワーがいりますよね。

(天野さん)
歴史は継承することに意味があります。我々の手弁当でいつまでもできるかと言ったらできない。我々世代が元気なうちはいいが、将来的に継続していこうと思ったら、色々と工夫していく必要があります。

(稲垣)
ぜひみんなで手を結んで、協力してこの危機を乗り切りましょう!

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