タイ 農場視察

東郷の魅力的な人 りゅうチャクマさん その4

富沢にお住いのりゅうチャクマさんのインタビューのその4最終回です。
記事その3では、りゅうさんの活動内容、スタディツアー、フェアトレード、フォーラムの開催、共感することの大切さ、活動の原点についてお話を伺いました。いよいよ最終回はタイとの関わり、少女買春の現実、戦う女性たち、ミャンマーとのことを紹介します。

タイとの関わり

りゅうさん タイはね、少女買春と戦っている女性たちと関わりができて。タイは女の人が元気なんですよ。地域格差が顕著で山岳地帯、東北地域、北辺りの貧しい子たちがバンコクに売られてくる。国境地帯だと、ビルマ側から女の子が売られてくる。あと少数民族。小学生くらいのおかっぱの女の子が売られちゃうからね。実際会ってみると、泣けてくるよほんとうに。レストランのすみっこにカーテンが引いてあって、その陰に女の子が集まっていて。みんな10代なんだ。
1980年代エイズが流行していたころ、そんなこと知らないので感染してしまう。自分の病気のことが理解出来ない中で亡くなっていく。
買春エージェントっていうのは、お金積んじゃうんだ。山岳民族の人たちって農作物を売って1日100円200円で暮らしてるでしょ。だから日本円で4,5万円現金を積まれたら娘を売ってしまう。買春エージェントが冷蔵庫とかテレビを持ってきちゃって、ひどいのなんか家まで建てちゃって、抜き差しならなくしてしまう。隣の娘は売れたのにうちのは売れんのかってなったり。売春競争ですよ。タイでは中国の儒教思想の影響があって子供は親の為に犠牲になるのが孝行なのです。

買春と戦う女性たち

りゅうさん 買春と戦う女性たちが結構いて、バンコクでは「絶対勝つ」弁護士レックさん、彼女は強いですよ。ジャーナリストのニラモンさん、トンディさんという普通の農家の主婦もいます。2016年名古屋生活クラブの支援で日本にお呼びしました。名古屋、豊橋、岡崎などで話をしてもらいました。彼女は女の子を買春宿から取り返したり、自宅にシェルターを作って保護してる。いろんな村へいって買春やめましょうと講演活動したり。ある村で二度と来るなとピストルを突き付けられてそれが村長だった。村長が買春エージェントなんだ。この話は自分の旦那さんにも言ったことがなかったといってた。

リス族の村ではある女の子が数百万円借金をして日本へ行ったんです。それを6か月で返したっていうんだ。そのかわり、体がめちゃめちゃになり、子供を産めない体になった。もう二度と日本へ行きたくないって言ってた。

ミャンマーのこと

りゅうさん ビルマ、今のミャンマー、実は今度のクーデターで攻撃されて支援してくださいって来てるんだ。知り合いがたくさんいて。イリーガルに国境地帯を超えて入って。この顔だから何人かわからない。ビルマって多民族国家で少数民族が100以上いる。ビルマ人と少数民族は非常にそりが悪い。少数民族は大きくわけて12グループかな。カレン、シャン、パオなど。パオは少数民族の中の少数民族なんだけど、そのパオのリーダー、リン・オッカ―が少数民族の連合体の外務大臣の様な地位にいる。彼の関係でいろんなところへ行っている。じゃないと地雷地帯があって危ないから。
1988年に始まった、民主化運動はビルマ人学生を中心におきた。そこに様々な階層が加わり、軍に弾圧された人々はジャングルに逃げ込み、少数民族に出会い、医療や教育を提供した。

りゅうさん たくさんの人と繋がってね。特に学生組織ABSDF、若いお坊さんの組織ABYMD、そして女性のグループBWO。みんなジャングルで実戦で戦ってきた若者ばっかりなんだけど、アラカン族のカイン・ドゥって若者がいて。もうおっさんだけど。学生の時にタイ国境で戦ってて、武器では勝てないから政治活動をやって、それでも勝てないので、タイに逃げてきてチェンマイの郊外に広大な土地を借りて有機無農薬農場を始めた。ビルマの少数民族の若者を集めて、そこで農業を実践させる。それを各自現地に持ち帰って、その結果を再び持ち寄る。NEEDナショナル・エコノミー・エコロジー・デモクラティック・パーティーという組織。最近はそこと関わっている。

りゅうさん ビルマはアウンサンスーチーさんが政権について民主化され、身の危険を感じることなく帰国して、ああよかったって、ヤンゴン、昔のラングーンに土地を借りてNEEDの活動を始めた。そしたら、今度のクーデターでしょ。カインさんは豚も飼い始めたけど、全部殺されちゃって。支援してくれって言われて。組織作ったってどうせまた潰されるだろうって伝えたら、彼がいま仕事も何もやれないんで、生活費が欲しいんだっていう。これ、俺まだやってないんだ。半年経っちゃってる。それが気になってね。振込むところが書いてあるんだけど、政府に接収されて届かないと思う。

りゅうさんの想い

りゅうさん 駆け足で話しました。実にいろんな人と出会って来て、そんな人々のことをじっくり話したいです。お声をかけて頂ければ喜んで話します。

スタディツアー、里親支援制度、フォーラム、などのお問合せは

りゅうチャクマさん 08015811980
Facebook チャクマりゅう

取材を終えて

約30年間のSTAの活動の歴史を振り返って頂きました。たくさんの人々と出会った膨大な記録のなかから、名前や状況がすらすら出てくるりゅうさん。フォーラムで食事をしながら話すことの良さを教えてくださり、同じように取材の私たちにもビリヤニや貴重な紅茶を振舞って頂きました。

 高校生のときに伊勢湾台風で被災した級友の救援活動から始まった社会運動への参加。頑張って支援しても物やお金が平等に配分されずに歯がゆい思いもされ、支援ではなく、どうして現地の人でできないのか、このどうして?の解決を目指して来られました。貴重なお話をぜひみなさんにも共有していただけたらと思います。

取材日 2022年4月9日 取材 浅井美夏、関原香緒里
文 関原香緒里

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