楽しもう
東郷地域協議会に昨年度まで委員として参加され、地域の目指す未来像を「わくわくするまち東郷」と提案された林清彦さん。日常をわくわく生活する林さんにインタビューしました。
楽しむ暮らし
インタビューは林さんが建築中の小屋に招かれてお話を伺いました。
ーこの小屋は?
趣味で養蜂をやっていてね、蜂に関するもの、巣箱とかたくさんあるからそれを入れるために作ったんだよ。でも、居心地のいい部屋になったね。近所の人も、やい、いつここで酒が飲めるんだって声をかけてくれるよ。
設計図はとくにない。建築法の関係で六畳以内でどうしようかって考えて。
全部、2×4でホームセンターで買える材料で、コンパネとか切らずに貼っていくだけにしてる。だから端材が少ないじゃんね。
まあ切るとこもあるけどね。片屋根にしたかったからその計算して角度決めてね。裏は手で塗れる土壁を買ってきて2時間くらいで塗れたよ。
簡単にできるもんで、みんなやればいいと思うよ。全部ひとりでできるよ。でも道具にはこだわったほうがいいかも。充電式の工具は値段は高いけど、あると本当に楽で作業がはかどる。
ー柱を立てるときは誰かに手伝ってもらわないといけないですよね。
それも一人でできるよ。水平器あてながら合わせて垂木で固定して。これは重かったけどね。昔っからなんでも興味があって、すぐ飽きちゃう。小屋も建てれるようになるとあんまり興味無くなるだろうけど。
ー養蜂をされているんですね。始めたきっかけは?
自然な流れ。叔父が20年くらいやってて、誰も引き継ぐ人がいなくて。道具も揃ってるから、やってもいいかなと思ってね。修行は大変だけどね。
僕がやってるのは西洋蜜蜂。
養蜂を始めてから、近所の果実類の受粉率が上がったのか、梅やビワの実なんかがよく生るようになったね。それと嫁さんが庭でハーブを育ててるんだけど、蜂がたくさん集まってくるよ。
巣箱にたくさんの蜜蜂が集まる 今年採取したはちみつ 庭のハーブ畑に蜜蜂が寄ってくる
ここで林さんが七輪でゆでたじゃがいもとパンを焼いてくれました。
じゃがいもはすりおろした玉ねぎと味噌を合わせたもので頂きました。味噌は自分で収穫した大豆で仲間と一緒に仕込んだもの。パンにはカマンベールチーズと採ったはちみつをたっぷりかけて。
ーどこでレシピを覚えるのですか?
じゃがいもと味噌は前に勤めてた製材所のおばあさんがこの時期にやってくれて。ストーブで芋焼いてその場で玉ねぎをすって味噌を合わせてもう一度焼く。それ見とって覚えたんだ。素材重視でいらんもんをこねこねしないで、食材のほうにちょっと仕事してもらうというのがいい。パンは友達に教えてもらったやつ。
ほんとに旨いものとか便利なものって簡単に買えるけど、昔から自給自足に憧れててね。自分で作ったものをどう活用するかを考える地産地消の考え方が好きだね。だで、友達となんかやりたいねって、大豆の会を立上げたり、それから野菜の店も仲間と始めたよ。(千郷小学校前の旬のひろば)
七輪の上にじゃがいもとパン 自家栽培大豆で仕込んだ味噌
仕事の転機
子供が小6、3、1年の時に仕事やめたやんね。印刷屋の営業を。
ーなんでやめたんですか?
そこは書いてもらいたそうでお任せするけど…
僕らはバブルで景気もよくて給料もずーっと上がってて。それが弾けて、それからコンピューターの時代が来た。
技術も営業のやり方もすべてを変えなくちゃいけなくて。40歳近くになっちゃうと頭が古いんだよね。自分がそこについていって、パソコン世代の連中と競ってできるかというと多分無理。俺らの上の世代は会社にしがみつく人ばかりでそこでも競争があって。飽き性だし、20年近くやったし、営業でお客さんとデザイナーの間でプロデューサーになって楽しかったんだけど。
42歳厄年で、体力も気力もあるうちに、残りの人生をもう一度自分らしい仕事をやっていきたいと一人で決めた。
―奥様には相談しなかったんですか?
ダメって言われるに決まってるからしなかった(笑)
そこで挽回するもの何かって考えたけど。次に働いたところは給料がめちゃくちゃ安くてね。嫁さんに迷惑かけました。
幸い大きな借金もなく、田んぼや畑もあり、周りにはタダで貸してくれる土地もたくさんあったので、食べる事にはそう困らないと思った。それからさまざま自分の本当にやりたいこと、わくわくすることにアンテナを張っているよ。
62歳からの人生
いま61歳で会社員なんだけど、62歳で退職してすぐ年金をもらおうと思ってる。もらえる額はすくなくなるけど。
それに養蜂、アルバイトとあともう一つなにか。四本の柱でなんとか生活したいと思ってるよ。
この小屋で週末だけ、はちみつの量り売りをしたい。器を持ち込みで、欲しい人には器も用意して。蜂は家畜だから、設備はいらないけど市役所に届けて愛知県の視察がある。巣が健全かどうかとか調べるんだ。これからなんだけど、まあ健康ならなんとかなると思う。今、看板もさりげないおしゃれなものを考え中なんだよね。はちみつはたくさんは採れないから知り合いとか口コミで始めて、できたらネット販売もしたいな。
それでお店を作るなら嫁さんが作る織物を置いたりね。
ーさらに人が集まりそうですね。
考えればたくさん面白いことできそうだよ。東郷ってさ、世界一いいとこなのに、気づいとる人少ないんだわ。
気づいた人で早くやりだした人が勝ちだよね。
新城ラリーとか東郷ケッターパークとか人が集まるもんね。
あなたたち、よそから来た人も可能性があるよ。(インタビュアーふたりとも、市外出身)
変えていくのは、よそ者、若者、ばか者ってね。
ー東郷地域協議会に入ったきっかけは?
5年前区長に頼まれてしかたなく。でも、何か未知なものに出会うこと、チャレンジすることが好きなのでやってみようと思いました。
ーわくわくするまち を提案してどうでしたか。
自分はそう大した考えはないので、とにかく自分として、この東郷をどうしていきたいかの抽象的な答えでしたが、楽しくうきうきわくわくするような地域を目指してほしいと思って出しました。
他の地域との差別化もあったし。採用して頂いてとてもうれしく思っています。
ー東郷のよさと特色はなんですか?
ここ日本の愛知、そして新城という少々里山に近い地域は、実は世界で最も良いところだと思っています。
あまりに良いところなので住んでいる人たちはピンときていないと思います。
この地域では、誰もがどんなことにでもチャレンジできると思います。東郷はまだ真っ白なキャンバスです。早い者勝ちです。
お孫さんの砂場も手作り 家庭菜園には山菜も植えられている 家庭菜園の前で
林 清彦さん プロフィール
現在61歳 会社員 妻、二男一女 大海在住
趣味:何かを作ること
モットー:明るい未来のみ考え振り返らない。こだわらない。くよくよしない。楽しく生きる。
終わりに
家族や周りの人々との関わり、東郷地区という里山の環境。柔軟に対応し受け入れることが林さんの豊かな生活につながっていると感じました。そんな林さんから、子育てが一段落した後の予定を聞かれました。自分なりのわくわくする暮らしをこの地域で探す楽しみができました。わくわくは、周囲の人にも伝染していくようです。
インタビュー日 2021年6月12日 関原香緒里
浅井美夏