地域活動が10年以上も続く秘訣ー出沢かえる会インタビュー

※令和3年3月より東郷広報PR部が活動を開始します。その発足の準備として、令和3年2月から東郷地区PRまた地域活動活性化のために、令和2年度地域活動交付金事業を行っている団体に対してインタビューをしています。本記事はその記事のうちの一つです。

出沢地区では四季折々の花をあちこちで見ることができる。その裏には10年以上にわたって景観形成活動を行っている「出沢かえる会」の姿があった。今回は「出沢かえる会」で活動する三人にお話を伺った。
(インタビュアー:加藤 稜唯

浅井 重子さん(72) 出身地:旧作手村 活動歴:13年(写真左)
内田 忍さん(65) 出身地:旧一宮町 活動歴:13年(写真右)
林 せつ子さん(70) 出身地:旧鳳来町 活動歴:13年

「出沢かえる会」のはじまり

加藤 まずは活動開始までの経緯についてお伺いします。何か活動を始めるきっかけなどあったのですか。

浅井さん 「出沢かえる会」の結成は平成20年なんですけど、「めざせ明日のまちづくり事業補助金」ってものに応募して、男の人たちが立ち上げてくれたんです。地域の活性化になるように会を作ってやりましょうってことで「出沢かえる会」が結成されました。最初は水仙の球根を植えたことから始まりました。

加藤 最初は水仙だったのですね。でも、なぜ植栽をしようってなったのですか。

浅井さん 出沢の中にはいろいろな会があるんですよ。「八平会」や「スマイルサークル」。他にも4つくらい。交付金をもらってやっていたのが「活性化の会」。そんな中で「花っていいよねー」の一言から花を植える会になったんです。

内田さん その頃はまだ交付金もなかったもんだから、いろんなとこから菜の花の種をもってきてくれたり、そばの種を持ってきてくれたり、そういうものを耕作放棄地みたいなところに蒔いてやってました。それでかえる会が立ち上がってから、会費を取ってその分で花を買いに行って。

浅井さん あと、自分たちの花を持ち寄ってとか。

内田さん 花をいっぱい植えたらいいねっていう気持ちがめちゃめちゃ大きくて、軽トラでお花を買いに行って軽トラいっぱいになったときはすごく幸せでした。ほんとに望んでいた、こうなるといいねっていう景色がひろがってて。

加藤 最初は交付金とか関係なく始めたのですね。

浅井さん そうそう、自分たちで。

内田さん 花を植えて楽しみましょう、出沢を花いっぱいにできたらいいねってそういう思いでね。

林さん そうこうしてたら東郷地区の地域活動交付金ですかね、そういう制度が始まって。最初のときには申請しなかったんだけど、まだ枠が残ってるよって言っていただいて第1回2次募集で9月頃からもらうようになりました。

浅井さん 自分たちのお金だけでやるのとは全然違って、植え替えもできるし季節ごとの花を買えるようになりました。

強制的じゃなくて、楽しみながら

加藤 10年以上も活動を続けられているということですが、活動の中で苦労したことなど伺ってもいいですか。

浅井さん 夏の作業が1番大変だよね。いつもは午前中とか昼の1時くらいとかにやってるんだけど、それじゃとても暑いし大変だからね。先にみんなご飯の支度をしておいて夕方の4時から5時に作業するってこともあります。それから天気が続いてると水やりが大変です。軽トラとかに水をたくさん積んでやるのがね、水道があるわけじゃないし川が近いところは川の水を使ったりするけど。

内田さん 花の育ちがいいときは草の勢いもいいから草取りも大変です。

浅井さん みんな好きでやっとるもんで不満はないですけど、あえて聞かれればそういうところですかね。でも、えらいでやめようってことは無いですね。

加藤 メンバーが13人しかいないと聞いたんですが、人数的な苦労とかは無いんですか。

浅井さん 人数での苦労はそれほど。できなかったら次の日やりましょうとか、それでもみんな文句はないですから。

内田さん 全員が出てくることは少ないんですよ、だいたい8、9人くらいで活動してて。強制的じゃなくて、楽しみながらやりましょうっていうのが大きいもんだから、ほんとに好きで出てくるっていう。出てきたら会話をしたりして楽しみながら活動してる。でもみんなだんだん歳をとってきたから、体に負担のないように回してる感じです。

浅井さん 出沢の中ではすごく少子高齢化が進んでいて、小学生は今1人しかいない。出沢から出て行った子供たちが、お盆とか正月に帰ってきたときに出沢の中に花が咲いてたり、きれいになってればいいねってそういう気持ちでも活動しています。

花がきれいに大きく育って

加藤 今度は活動してきた中で、よかったなって感じたことを伺ってもいいですか。

浅井さん 植えた花がきれいに大きく育って道いっぱいになったときはうれしいね。あとは、他所の人たちに「出沢っていつもきれいにしてるね」「よくやってるね」ってそういう声を頂いたときですね。

林さん 結構ウォーキングしてる人が通るんですよ。作業してるとその人たちが「きれいだね」とか「よくやってるね」とか声をかけてくれますね。

内田さん あとは、出沢区の人たちがよく見ててくれるみたいで「すっごい今きれいに咲いてるね」だとか言っていただいたり。今年は春に菊を挿し芽にして、自分たちだけで植えたんじゃなくって区民に分けたんですよ。そしたら今年はどこの家でも菊が咲いててね。みんなにも喜んでもらえたのが私も嬉しかった。

「おもてなしサロン」

加藤 「出沢かえる会」から波及してできた活動があると伺ったのですが、どんな活動ですか?

浅井さん 「おもてなしサロン」ですね。ほとんどのメンバーが「出沢かえる会」のメンバーなんです。お年寄りの人たちに公民館に来てもらって、みんなで体操したり歌を歌ったりだとか食事をしたり、ゲームをしたり。

加藤 活動が波及していくのはなぜですかね。地域性なんでしょうか。

林さん 立ち上げてくれるリーダーがいてくれるからね。

内田さん 旗振り役がいて、あとの人たちは参加しながら楽しむ。そういうことができるんです。

浅井さん みんな絆があるからね。あの人がやるなら楽しそうだで一緒にやろうって感じでね。

内田さん 私もこっちにお嫁に来たんだけど、長く外で暮らしていたので、こういう活動の中に率先して入っていったもんだから馴染めたっていう。すごい馴染みやすい地区ではあるよ。

浅井さん 一人暮らしでおっても、世間で言うような寂しさとか大変さってあまりないです。みんな顔見知りで声かけてくれるし、高齢化社会になっても絆はいいなって思います。活動がなかったら一軒一軒が孤立していっちゃうから、嫌じゃないし強制じゃない活動があってありがたいって気持ちが強いです。

出沢公民館

無理をせずに続けていけたら

加藤 最後に今後の展望や目標を伺ってもいいですか。

浅井さん 今までいっぱいやってるから、無理をせずに今の現状で続けていけたらいいな。13年目に入りますし、無理に広げたりするとみんなきっとえらくなるから、できる範囲で今の花をきれいにしていけたらいいなと私は思います。

内田さん もうね、始めた頃の元気は気持ち的にはあるんだけど体の方がついてこなくなっちゃってる。でも続けていきたいとは思っています。

林さん 私たちの会のマスコットキャラクターをモリアオガエルにしてるんですけど、「出沢かえる会」では「家に帰る・故郷に帰る・何かを変える」という意味を込めています。出沢を良くしたいっていうのが活動の目的だもんで、今後も続けていきたいです。

(取材年月日:令和3年2月17日)

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