武田勝頼公観戦地へと続く道 ~ふるさと「信玄」を愛する会~

 八束穂地区にはかつては設楽原を見渡せた武田勝頼公観戦地がある。そこへは砕石が敷かれ、明るくきれいな一本の小道が通っている。今回は「歴史の小道」を整備する『ふるさと「信玄」を愛する会』の6人に話を伺った。
(インタビュアー:加藤 稜唯

写真左端から
瀧川 麗子さん 蒔田 嘉延さん 瀧川 昌弘さん 野沢 幸生さん 河合 芙佐夫さん
写真左端から
瀧川 麗子さん(71) 蒔田 嘉延さん(78) 瀧川 昌弘さん(68) 野沢 幸生さん(75) 河合 芙佐夫さん(77)

ふるさと「信玄」を愛する会 始動!

加藤 まずは活動開始までのきっかけについてお伺いします。どうしてこのタイミングで活動を始められたのですか。

河合さん 道中にある灌漑用水の古いところに残念なことに悲しいことに野生の鹿が落ちこんじゃったという風なことが過去あわせて2回くらいありまして、それじゃあ危ないとこだしなんとかせにゃいかんなということが始まりだったんですね。そのときに単純に考えれば埋め立てればいいじゃんということだったんだけれども、埋め立てだけじゃよくないので、いろいろ関係者とかけあって。そうすると、こういう事業があるよ地域活動交付金をうまく使えばいいじゃないかという話からこの会立ち上げて。ということです。

野村さん これが骨なんですよ、犠牲者の一頭。要するに池に死んどったわけですよ。池がぷんぷん臭って。それを要するに今後どうしていこうかと、こんなことがしょっちゅうあったんじゃ大変だぞと。どうせやるなら、いま天気のいい日は観光客も見えるから、それなりのことをやらんともったいないじゃないかというのが最初の発端なんですね。サンプルで出したんですけど、こういうのが見つかったわけです。

シカの頭骨を見せる野村さん

河合さん 野生の鹿がとびこんじゃうわけだよね。それも怖いなって。知らん人は何気に通ちゃってるけども、そういう事実がありますよなんてことが明るみに出ちゃったら、とてもじゃないけど人なんか寄りつけへんようなところだもんで。なんにしても用水として用はなくなったんだからそれもなんとかしようと。やっぱり前後を整理しながら、みんなが気持ちよく入れるような場所にしてこうじゃないかっていうのが発端ですね。

加藤 具体的に整備計画はどのように立てられていったのですか。

野沢さん 最初、15人くらいが集まってどういう形がいいかって言うのを相談して、やる方向が決まったんですね。それとせっかく地区に住んどる人が使う道なもんですから、なるべく多くの人が関わってもらった方がお互いに人も知り合うし、いいじゃないかと言うことで。自治区のなるべく多くの人にとういうことで、回覧を回して出れる人は参加してくださいと言うことで始まったんですけど。

河合さん 令和元年の12月に組の総会がありまして、その中でこんな事業立ち上げるけどどうでしょうかと、一番最初の投げかけはそこからです。そのときに28名が総会に出てる席上で話を持ちかけて、進めてくかとういう話になりました。具体的に進めていくにあたってはとういうことで1月くらいにまた集まって。そのときは30名くらい集まって、オブザーバーで当時の区長さんと小林先生と新城市自治振興課の方をお呼びして、ここで関わる説明をしたと。アドバイスをもらいながら、ほぼこんな格好でいきたいなというとこから、どうしたらいいかねとういうところへ一歩話が進みました。

野沢さん 最初はでこぼこで草も生えとって、重機も通るにいっぱいのような道だったもんで、見たとおり土が柔らかいら全体が。ほいだもんで踏みつぶしてもらって、こちらの方は草が生えてるから。あれから向こうに砕石を重点的に入れようってことで。本当はすべて入れると良いだんね、それでも草生えりゃ砕石なんあったて一緒だもんね。

埋め立てられた灌漑用水

危険も伴う大整備

加藤 かなりの重労働だったと聞いていますが、整備過程でどのようなことに苦労しましたか。

野沢さん 道が狭くて柔らかかったもんで、軽トラを運転して砂を運んだときに本当に神経使ったね。いつどこで落ちるかなって、こう運転しとってね。ほんとに神経使って、疲れちゃったね。道が狭くて木にぶつけて2回くらいコケたかのん。割と手前の方であれだっただけど。やっぱし素人だもんでね。大丈夫だと思っていっても大丈夫じゃないもんでね。まあそういうのを踏まえて、今年度はしっかり土留めをしてから軽トラ入れた方が安全じゃないかと言うことで、今年度については先に杭棒を打たせてもらって。落ちんような形にしてから軽トラ行きゃあ、今度は作業が楽かなと。

河合さん 去年のその体験を踏み台にして今年はより安全を図りながら。そういう補強をしながら。まあ安全に入れるようなということの配慮はしていくつもりです。もう本当にあの軽トラを運転する人には…。これで怪我人でもでたらとんでもないことになる。

瀧川(昌)さん どっちにしても今若い衆がおらんもんでね。砂利を引いたり運んだり、枝が道路に被さっとるのを切ったりなんかする作業っちゅうのも全部ね、70後半くらいの人達ばっかだもんでね。それが大変だよね。今じゃそれこそ60歳定年なっても再任用だとかなんだかってあるもんだから、やっぱりみんな勤めとるもんでね60代は。だもんでこういう風にボランティアで活動できるっていうのは70代なってからだもんでそうすると、普通の軽作業だけならいいけどちょっと重労働になると大変ですね。

充実感を胸に

加藤 現在、約半分の整備が終わったとのことですが、今どんなことを感じていますか。

瀧川(昌)さん やっぱりやってよくなりましたよね。

野沢さん やってきれいになったなあって感じだね。

河合さん うっそうとしたとこでのん。自分等でも入ってくのにあれだったもんで、ましてや鹿が死んどるなんて地元のものだで知っとるけど、他所から来る人等がそんなこと知ったらとてもじゃないっていうとこだったもんね。場所としては由緒あるところだもんでいかに大勢の人が通ってもらえるようにするかだもんでのん。やっぱみんなも充実感があるじゃないか。

瀧川(麗)さん 重労働はできないですけど、砂利を運んだりそういうお手伝いはちょっとできるというところでとてもきれいになったと思います。

蒔田さん 確かに明るくなったな、歩きやすくなったな、きれいになったなっていう。そういうことだよね、今は。

加藤 今年度の整備についてはどうでしょう。

蒔田さん どっちにしても昨年の延長線だね、同じように整備してくっていうか。

野沢さん メインは坂かな、いかに上手にできるかっていう。

河合さん 今年やるところは昨年度やったとこより道が半分になっちゃうもんでね。狭いところは狭いなりに活かしながら。ほんとに年寄りが上がってって滑ると下まで行っちゃうみたいなところだもんで。自分たちのためにもあそこにそれなりの階段をとりつけて、もう少し気持ちよく上がっていけるような場所にしたいです。

階段作りイメージ図

整備した道の先

加藤 最後に、すべての整備が終わったあとの展望をお聞かせください。

河合さん あのへんで草刈ったりごそごそしとると観光客の方がまた見えたななんていって、立ち話なんかするけど。どうやってこういうとこ来るんですかなんて逆に聞くと、今はネットだとかいろんな手立てをあれしてくるんですよとか言って、ここら辺一帯がそうだもんで。ここだけに来るんじゃないんだけど、こういう風に手を加えてくれとるところがあるんですねとかいう対話をたまにしながらなんていうのもあるもんでね。僕たちができるのは専門的なことじゃなくて、こういうところにそういうものがあるっていうのを維持管理してますよ見てってくださいそういう感じです。

蒔田さん 今度はそれぞれの所へ案内板を立てる予定だもんでね、観戦地に行くにはどこ行きゃいいですかって聞かれたけど口じゃ説明できんもんで、観戦地までご案内しただけど。やっぱり案内板を立てればね、迷わず行けるようになるよね。

野沢さん あそこはね、一年に一回地区の方がまあ全員お参りに行く予定になっとるだけど、せっかくきれいな道を作ったんだから維持をしていきたいなと私なんかは勝手に思っていますけどね。

武田勝頼観戦地案内板

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