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ギフトエコノミー体験型イベント 廻る世界の物語 略してめぐせか
今回は愛知県新城市東郷地区を飛び出し、旧門谷小学校で2022年10月9日に行われた、ギフトエコノミー体験型イベント 廻(めぐ)る世界の物語 略してめぐせかの記事をお届けします。
ギフトエコノミーは贈与経済と訳されます。そして、記者のわたし、関原もギフトブースでノンアルコールBARとして出店させてもらったので、その模様もお届けします。
インタビューに答えてくださった方 主催者兼参加者の3名
廣田由美さん 設楽町在住 芸術家 ギフトエコノミー体験型イベント 廻る世界の物語発案者
伊藤美智子さん 豊川市在住 ヴィーガンスィーツ ナチュラルスイーツ工房。2回目から参加
牟田仁美さん 豊橋市在住 整体師 体と心を整えるおからだ改造師。初回から参加
3回目の今回は、来場者199名
ギフトブース 44名 23ブース
ボランティアスタッフ 26名
主催 3名 合計272名でギフトエコノミーを体験しました。
ギブアンドテイクではないギフトエコノミーを知ってもらう
廣田由美さん 以下由美さん ギフトエコノミーのイベントは、小規模のものは全国各地で行われているようですが、この規模のものは全国的にも珍しいと思います。ギブアンドテイクという2者間でお金と物とをやり取りして完結する世界が当たり前なのだと私たちは長らく思いながら生活してきました。
けれど、その考え方に違和感を持っていたり、息苦しさを感じている方は私含め確実にいて、そういう方へ向けて、実は私たちは繋がりの中に生きているのだということを伝えたくてこのイベントを立ち上げました。
今の世界は、お金というシステムに人が使われてしまっていると感じています。それは、人がお金をどうやって使っているか意識出来ていないことが原因でないかと考えました。だから私は、いずれお金の無い世界を本気で作れると思っていますが、そのためにまず知ってもらう機会を創ることが大切なのではないかと思ったんです。
関原 美智子さんと仁美さんがめぐせかの主催をするのはなぜですか?
伊藤美智子さん 以下美智子さん お金の仕組みについての話、大西つねきさんのお話会に参加して、お金について考え方を見直す、今とは違った経済に目を向けたいと思ったのがきっかけ。そのお話会を主催してた由美ちゃんと仁美ちゃんにめぐせかの趣旨を聞いて、私も関わりたい、入れてってお願いしました。
牟田仁美さん 以下仁美さん 1回目は由美ちゃんが1人で主催だったんです。私はギフトブースで整体で参加していて。同じようなイベントに参加するのでも、由美ちゃんのコンセプトがすごく良くて。
お金の仕組みがおかしい
仁美さん 私はお金の仕組みがおかしいと思ってて。その仕組みを学ぶとお金があることで人間の本来の生き方が出来ていない、縛られて優先するものがお金になり、本当に大切なものが下にいってしまう。お金のない世界にしたいと思ってた。お金っていうものが何か、をずっと疑問に思ってて。紙切れじゃん、大事なのは心でしょ。みんなお金基準で物を選ぶから、虚しいと思ってて。それで大西つねきさんの話とか、お金のことを学ぶとその仕組み自体がおかしくて、私たちの生活もそのルールの中でしか動けないというのがある。それぞれの優しさのなかで回っていったらいいのになって思ってた。
優しさを廻らせて成り立つ経済を目指す
仁美さん 由美ちゃんが優しさで成り立つ世界をイベントでやると言ってくれて。2回目のときに一緒に主催してって言われて。三人の想いはほんというとお金をなくしたいんですよ。今の貨幣制度からの脱却。お金のことを知らないから目を向けて、まず自分が何をどう思っているのか意識しようよ、それができるのが ギフトエコノミー体験型イベント 廻る世界の物語だなと思いました。
足を運べる方にだけでなくギフトエコノミーの存在を知ってほしい
関原 3回目の今回はいかがでしたか?イベントの告知について、インスタグラムなどSNS発信のみの場合が多い中、チラシ、ステッカーを作り配布するのはなぜですか?
美智子さん ギフトエコノミーの存在をまずは知ってほしいから。足を運べる範囲だけにチラシを配るということではなく、遠方の人でもこのかわいく作ってくれたチラシにギフトエコノミーとこのイベントに対するいろんな想いが詰まっていて、そんな考え方があるんだって思ってもらえる。それだけでもうれしい。
人は何かしら頼られたら嬉しい、やりたい気持ちをもってる
美智子さん みんな何かしらこうしたい、頼られたら嬉しいしやりたい気持ちはやっぱり持ってて、それが循環する。前回も今回もめぐせかを知らずに訪れる方もいらっしゃって。そこでちょっとでも知ってもらえる、体験してもらえるのが嬉しい。
ペイフォワード(Pay it forward)先に払う、恩送り
ギフトエコノミー体験型イベント~廻る世界の物語~では支払い義務がない。なぜなら、提供される商品やサービスは以前それ受取った誰かが既にあなたの分を払っていってくれているからだ。自分も同じように次の誰かへギフトしたいと思った時、初めてお金を置いていける。だから定価も提示されていない。置いていく金額も自分で決めることに意味がある。
ここでは価格ではなく、「価値」を考える体験を提供しているからだ。
自分で価値を決めて払う、自発的な想いは余裕が持てる
仁美さん 1回経験しないと人間って、腑に落ちないんですよね、頭だけの理解だとその場で終わっちゃう。そこで値段設定なく、自分で決めて払うということをすると、一回そのコンセプトを聞いたうえで意識して自分でやるとなると、自己肯定感に繋がったり意識が変わってくるんですよ。意識が自分に向く。自分に向けないと自分が何を考えているか、自分の想いが出てこないんですよ。自分を知れる。
美智子さん 自発的な想いとか値段を決める事もそうだし、私はこれができるからこういうお手伝いができますって自分からギフトする。自発的な想いは余裕がもてる。余裕を持てるから優しさを引き出す。だからイベントを通して思うのは、みんな優しい。
頑張らない、我慢しない、余裕が出来て優しさが生まれる
仁美さん 自己犠牲してない。自分にできることしかやらないから雰囲気も違うよね、ゆるーい。みんな参加者。主催者をやるけど、主催兼参加者だし、出店者って呼ばない、ギフトブース、応援ブース(とめぐせかでは呼ぶ)
美智子さん 私もギフトブースでお菓子を出したんですが、私があちこち行くから、姉に手伝いを頼んだけれど、姉にも自由に楽しんでいいからねって。ほんとに姉も楽しんでて、誰かしら居ないとって友達の旦那さんが店番をやってくれて。それができる場はなかなかない。お客さんも怒るでもなく。頑張らない、我慢しない、余裕ができてやさしさが生まれて循環してるっていう一人ひとりが創り出してる雰囲気がそこにあった。
ギフトブースを選ぶ基準は、需要ではなく自分たちの体験したいこと
仁美さん ギフトブースを選ぶとき、私たち3人が体験したいやつを選ぶんですよ。やりたい人を募集したんじゃなくて、自分たちの希望をリストアップして、できる人って手を挙げてもらって集まった、私たちが求めてた人たち。それを来てくれる人の需要に合わせていくと雰囲気が変わっちゃう。
美智子さん しかもやりたいことやってる人のつてがその時なくても、まずはやりたいことを書きだす。きっといるよねって。誰かが誰かの知り合いに繋がっていく。
仁美さん 縁をつなげるギフトもある。お友達がやってるから聞いてみるって繫げてくれた。感覚がこういう人しか集まれないけど、その場にいれば、ここまでの感覚にはなってないけど社会に疑問を持ってたりとか自分を変えたいとかっていう人が来れる場ではあるかなと思う。やってることは正しいから。
美智子さん 相手を変えたいっていう感じの方はいなくて、まずは楽しんで。楽しんでると、みんな自発的に集まって来てくれて。
仁美さん いい方向に自然なほうに変わっていくよね。
美智子さん そうそう、そうすると楽しそうってまた引き寄せられて大勢で輪が広がっていく。
由美さん 私は3回目は楽しかったよりも、もっとこうしたらが多すぎて6割くらい次はやれんかもしれんと思いました(笑)
関原 やってる最中に思ったんですか?
由美さん いや帰ってからですね(笑)。今回、3回目にして新しく取り入れたこともあったし、屋外でやるっていうことのリスク管理とか、色んなことが見えました。2回目の時は必死過ぎて見えて無かったことが見えるようになったと言われれば成長なんでしょうけれど、やっぱりこう出来たなぁが見えると悔しいなあ!が強いです(笑)
※この日は午後から雨が降り、予定されていたキャンプファイヤーが中止になった。
関原 お客さんはどんな感じの方が多いですか?
由美さん よく出店者さんはみんな知り合いの方ですか?と聞かれるんですが、半分くらいはめぐせかをやるとなってからご縁を頂いた方です。なので、お客さんの半分以上も初めましての方が殆ど。出店者さんのお知り合いやお客さんだと思います。のんびり過ごすということもテーマにしているので、そういったゆっくり過ごすことがお好きなお客さんが多くみえている印象ですね。
美智子さん ゆるい時間が流れてるから心地いいよね。
繋がりの中で生きていること、その安心感。生きていくためには必要だと思うから。
取材後、由美さんからラインでメッセージをいただきました。
ようやく荷物を運び終えて、もらった写真を眺めていたら、私の頭の中だけで見ていた景色とは違うものが見えてきて、ギフトブース、お手伝いギフトのみなさん、遊びに来てくれた方の楽しかった、の声を思い出しました。参加してくれたみんなが心地よく過ごせたなら、私の表現したいことは一つ出来たと思います。
繋がりの中で生きていること、その安心感。生きていくためには必要だと思うから。
ノンアルコールバーでギフトブースに参加
主催者の三人がおっしゃったように、やれる人に手を挙げたのが私です。インスタグラムのストーリーズに上がっていた、バーの募集を友達がみつけて教えてくれて、そこで初対面の主催者の由美さんへ経験がなくてもできるか問い合わせ。保健所の要件などがクリアされていればいいとのこと。わからなければ調べてくれるとも。自分で保健所に聞きにいくと、屋外では市販の清涼飲料水や市販のシロップなどを氷の入ったコップに注ぐのは可能だが、生の果物をカットしたり、手作りのシロップを提供するには、許可を取ったキッチンカーでなら可能とのこと。そこでキッチンカーで営業するカフェグリーンピースの家田絵里さんにお願いして、また出沢区の寿恵広食堂の海野知恵さんも相談に乗ってもらい3人で出店することにしました。
バーカウンターも作ってもらいました。
バーカウンターは昨年8月の東郷学び学校の木工教室でお世話になった、林清彦さんにお願いしました。東郷学び学校についてはこちら。屋外のため、倒れにくく持ち運びができるものに。また普段は棚として使えるようにと少し変わった形ですが私の使い方を考えて作ってくださいました。
練習にめぐせかでもギフトブースで参加する蒲郡市のカフェあるきにすとの店主、榎本早苗さんのところで一日限定バーをさせてもらいました。めぐせかでは料金の下限を決める事ができます。最後に集計したところ、下限以上のギフトが入っていてびっくりしました。そんなギフトエコノミーを体験しました。
めぐせかを主催する3人のイベントへの想い、3回目の感想、私のギフトブース体験談についてお伝えしました。その2では、イベント発案者 廣田由美さんの想いをお伝えします。
取材日 2022年10月10日
インタビュアー、文 関原香緒里