新城で働くベトナムの女性たちのお茶会体験

新城市で生産される煎茶の量は愛知県一を誇っています。

リニューアルしたペットボトルの「しんしろ茶」は、新城有教館高校生のアイデアのもと、本多プラス株式会社がラベルデザインを監修しました。東郷地域に本社がある本多プラス((株)はベトナム、ホーチミン市に本多プラスベトナムの自社工場がある)は、新城と大阪の工場には120名のベトナムの人が働いているそうです。

煎茶道売茶流(ばいさりゅう)新城教室の本多先生は、数年前から本多プラスで働いているベトナムの若い女性たちに、日本の文化に触れる機会を希望する人をお茶会に招いてきました。10月秋晴れの日、 私たち生徒のお稽古もかねてお茶会が開かれました。

ようこそ、お茶会に

お茶会は午前、午後各五名ずつ参加があり、午後には琴の演奏も行われました。まずは午前の部。夜勤を終え通訳を兼ねたチャンさんと一緒に来てくれました。

玄関で靴をきちんと揃えて、みんなで挨拶。私たちもちょっと緊張します。

気軽に楽しんでね、の気持ちですが、、。 

先ずは入室から

敷居の手前でお辞儀の姿勢のまま、にじり入ります。床の間の掛け軸と花を拝見し、畳のヘリを踏まないよう席にすわります。ベトナムのみんなは緊張気味、私たちはいつもと違った若く華やいだ雰囲気に口元もほころびます。

お点前が始まり

先生から抹茶と煎茶があること、掛け軸「吾が心秋の月に似たり」の説明、花と花器、お茶碗などのお道具、お茶席は季節と静かな雰囲気を楽しむ日本の総合芸術です。と説明しながらも、足をくずしていいですよと声をかけてみえました。

お煎茶は 

急須で入れた茶葉のうま味をあじわいます。五つの小ぶりお茶碗に茶葉のエキスを最後の一滴まで丁寧に注ぎます。目の前でお点前を見て、お盆に乗せられ出されたお茶をどうやって飲むのか、ドキドキしたことでしょう。それでも一口含んで「ごめいせんでございます」、生菓子を箸でとる前に隣りの方に「おさきにいただきます」とみなさん日本語で言えました。

「菊」の銘の生菓子を頂き、ニ煎目のお茶も頂きました。 

ほっとしたところで ちょっとおしゃべり

「お茶はちょっと、にがいです。」

「お茶をいれるとき、おもしろかった。」

「いつもはミルクティーをのんでいます。」

来日して1年から1年半の四人はコロナ禍によりベトナムで1年近く日本語を勉強していたということで日本語が上手です。2019年来日のフェンさんは既に在留資格の試験に合格しベトナムに戻ったら日本語の先生になりたいそうです。

午後は「(今年の)3がつにきました」「まだ3かげつです」の初々しいみなさんが参加者です。

お茶をいただいた後は琴の演奏を聴きました。そして琴に触れさせてもらいました。それぞれ琴爪を付けて弦をはじくと思いがけずよい音が出て両手を使って押さえたり、上から連続に流したりと楽しい体験でした。

お茶会はおしゃべりしていいですか?の質問にそう言われてみると確かにそう思うだろうなあと感じました。

回転寿司のお茶を抹茶と誤解していた話もあり、ぜひお抹茶の席も体験してもらいたいと思ったのでした。

お茶会を終えて

ベトナムは社会主義共和国で自由に外国に行くことが出来ません。彼女たちはベトナムの高校を卒業し日本のアニメが好きとか日本に興味があってと、円安でも日本を働き先に選んできてくれました。知らない国で働く不安もあるでしょう、それでも、

「さくらぶち(桜淵公園)やネコカフェにいきました」

「イオンモールにいきました」

着物を着て家康の像と写っている写真も見せてくれました。笑顔とキュートなベトナム語の発音が行き交うとても楽しい会でした。

(ライター 岡田 文子)

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